20世紀が「物質の時代」だったのに対して、21世紀は「精神の時代」と言われています。
20世紀は科学技術の進歩と資本主義の発展に伴って大量に「もの」が生産されました。化石燃料の高度利用はプラスチック製品や合成繊維などの新商品を大量に創出し、自動車や飛行機を生み出して、人や商品の移動速度を飛躍的に向上させました。そうした「もの」を発明し大量生産して普及させたのは精神(ソフトウェア)です。かつて存在しなかったもの(=商品)を新たに生み出し、改良していったのはあくまでも精神であることを忘れてはなりません。
ところが短い期間にものが大量に流通することで、人はものに宿る精神をじっくり吟味する時間を失いました。精神が生み出したはずの「もの」によって逆に精神が支配される時代が到来したと言えるかもしれません。
20世紀後半になると通信技術が高度化し、ものとともにさまざまな情報が高速かつ大量に伝達されるようになりました。
商品や情報の高速流通に伴って伝統社会が崩壊し、効率主義、競争主義、商業主義がことさらに重要視されるようになり、人びとの仕事や日常生活自体が効率とスピードと競争を要求され、大量生産・大量流通・大量消費のシステムに飲み込まれてしまいました。
21世紀は行き過ぎた高速大量生産時代に疲弊した人間たちが自然と共生しながら本来の豊かな時間を取り戻す時代になるでしょう。
そこで求められるのは、人の心を癒す仕事、人の心を豊かにする仕事です。
精神世界が好きな方はおもに、(1)人の心を癒したいという人、(2)心理学や精神分析が好きな人、(3)超能力やオカルトといった「超心理学」分野に惹かれる人、に分類されます。
(1)や(2)の方は「カウンセラーの仕事」や「健康を守る仕事」、「医療に関わる仕事」、「福祉の仕事」も参考にしてください。(3)の人は、ただオカルトや超常現象に心酔・耽溺するのでなく、それを実証主義的に探求するか、音楽や美術、文章を書く仕事など文化的に意義のある仕事に結びつけるよう努めましょう。
伝統的に人の精神に最も関わってきたのは宗教ですので、ここでは宗教家の仕事を中心に紹介します。
なお、宗教に関わる仕事は社会的な弱者に接する機会が極めて高いため、普通の仕事より遥かに強い倫理感・責任感が要求されます。精神的なものには「市場価格」は存在しませんから、それを悪用する人が「宗教」と称する悪徳ビジネスに手を染めるケースが後を絶ちません。社会的弱者に多額の金銭を要求したり、信者に性的行為を要求するような宗教を発見した場合は、目をつぶっていないで必ず社会的に弾劾しましょう。
神職・神主(神社で働く)
神職(しんしょく)とは、神社で日本神道に則った祭儀をおこなう仕事を指します。神社の代表者は宮司と呼ばれます。宮司を神主と呼ぶ場合もありますが、現在では神主は宮司だけに限らず神職同様、神道の祭儀を執行する人を意味しています。副代表は権宮司と呼ばれ、禰宜(ねぎ)はその下で補佐役として実際の社務運営にあたる人のことを言います。
神職になる一般的な方法は、神道学科のある大学(皇學館大学と國學院大学のみ)あるいは2年制の神職養成所(伊勢の神宮研修所、名古屋の熱田神宮学院、出雲の大社國學館など)に通い、階位を得ることです。階位は一般神社の禰宜に求められる直階に始まって権正階、正階、明階、浄界へと上っていきます。
仏教僧侶
寺院は境内に墓のある檀家のために死者の供養をおこない、葬儀や法事・法要の際に読経するなどしてお布施を頂いたり、戒名料や永代供養料などを受け取ることで寺院の経営に必要な収入を得ています。但し、一般的に檀家が300軒を超えない小さな寺院では、公務員や会社員を兼務するか、幼稚園経営や駐車場経営などを兼業しているところが多いです。また、おもに密教寺院では家内安全、病気平癒などの祈祷をおこなうこともあります。
仏教僧侶になる一般的な方法は、仏教大学に進学することです。各宗派によって大学が異なりますので、自分が属したいと考える宗派の大学に進学すべきでしょう。仏教関係の学部・学科のある大学は、東京では駒澤大学(曹洞宗)、大正大学(天台宗・真言宗豊山派・真言宗智山派・浄土宗)、京都では大谷大学(浄土真宗大谷派)、種智院大学(東寺真言宗)、立正大学(日蓮宗)、花園大学(臨済宗妙心寺派)、佛教大学(浄土宗)、龍谷大学(浄土真宗本願寺派)、大阪府では四天王寺国際仏教大学(和宗)、和歌山では高野山大学(真言宗)があります。ほかにも宗派によっては宗教家になるための養成所をもっているところがあります。ただし、寺院の家に生まれたわけではない人は、既存の寺の住職となるのはかなり困難であることを承知すべきです。
なお、 ほかにも国内外の仏教者に師事するという方法があります。
【参考図書】
『僧侶入門 』 平野隆彰(著)
東方出版 (2000/05)
『僧侶のための仏教カウンセリング入門 』 奈倉道隆・譲西賢・林幹男
・友久久雄(著), 四季社 (2005/10)
神父
神父とはカトリック教会の司祭を指す呼び名です。カトリック教会はバチカン教会のローマ教皇を頂点とした位階制度によって成立しており、聖職者は助祭、司祭、司教へと昇進します。神父は洗礼から始まる七つの秘蹟(洗礼・堅信・告解・聖餐・婚姻・塗油・叙階)の儀礼を司り、聖書の朗読や説教をおこない、教会を維持・運営するためにさまざまな活動をおこなう必要があります。
神父になるには、もちろん洗礼を受けてキリスト教に入信することが前提となります。東京の上智大学や愛知の南山大学、関西の英知大学などの神学部に通うとともに教会のボランティア活動に積極的に参加し、先輩神父の推薦を受けられるよう努力する必要があります。
牧師
プロテスタント教会の聖職者は牧師と呼ばれます。プロテスタント教会はカトリックの七つの秘蹟のうち洗礼と聖餐のみを認め、教会の儀式よりも聖書に書かれた内容を重視します。ただし、教会の維持・運営のため、慈善活動や福祉・教育活動をおこなう点では共通しています。
牧師になるには入信して東京なら東京基督教大学や東京神学大学、日本ルーテル神学大学、立教大学、関西なら同志社大学、関西学院大学などの神学部に通い、牧師として推薦を受けられるよう努力する必要があります。
新興宗教団体職員
日本における宗教は既存の神道や仏教、キリスト教、イスラム教だけにとどまりません。神道系仏教系その他の大きな宗教団体がいくつもあります。教団職員として働くには、その教団に入信し、信徒としてさまざまな布教活動・福祉活動・教育活動に積極的に関わり、団体関係者に信頼される必要があります。できればまずは教団とは無関係な仕事や職場を経験し、社会的なスキルを身につけてから教団で働くことをお勧めします。
新興宗教主宰者
既存の宗教とは異なる新しい宗教を興したいと考えている人は、1から信者を獲得することは極めて困難ですので、まずは自分の考え方に近い教団に入信して自分の宗教的思想を研鑽するとともに教団運営ノウハウを学んだ上で、独立すべきでしょう。
【参考図書】
『誰も教えてくれない「宗教法人・教団」の作り方―「宗教法人法」「宗教法人の規則の作り方」掲載! 』
沼波正太郎 (著) ぱる出版
(2006/12)
宗教法人の認可の取り方や教義・布教・信者獲得・運営・収益確保の方法をわかりやすく説明しています。
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本項は、『宗教家になるには(僧侶・神主・神父・牧師ほか)』を参考とさせていただきました。本書は神職や僧侶、神父、牧師などに実際に従事している人の話をのせ、各宗教の特徴や宗教家になる道、宗教家の心構えなどについて、深く紹介しています。 |
ほかにも精神科医やカウンセラー、占い師、精神世界関係グッズの開発・製造・販売に関わる仕事、精神世界本の著者、などの仕事があります。
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