調べものが好き
本が好き 書く仕事がしたい

 「調査」はすべての知的な職種に付随する仕事です。調べものとはあまり縁がなさそうに見える営業の仕事でも、顧客情報やビジネスに関わる法律を調べる必要がありますし、工場で機械操作や保守・点検をする職業でも分厚いマニュアルを繰ったり、不具合の原因を調査・分析しなくてはなりません。ただしこれらの仕事では必要が生じた際に調べるだけで調査そのものが仕事の本質ではありません。ここでは職務時間の大半が調査や分析に当てられる仕事を紹介します。

 調べるということは、ある目的のために世の中に顕在・潜在する膨大な情報から有用なデータを探し当てる作業です。仕事として調べる場合は、基本的にただ調べるだけでは終わりません。インプットしたデータを加工し、なんらかの形でアウトプットする必要があります。つまり、調査結果を報告書にまとめたり、調査結果をもとに企画書やプレゼン資料を作成し、ときには大勢の前でプレゼンして初めて「仕事」と認められるのです。知的好奇心が旺盛で調べものが好きな人のなかには、情報収集や分析、本質を掴む能力は並外れて優れているのに、アウトプットが上手くないために損をしている人がよく見かけられます。読解力や理解力とともに人に理解させる能力や説得力、事故表現力も伸ばすようにしましょう。
  また、仕事には必ず「納期」が伴います。研究者なら自分の専門分野についてどれだけ時間をかけても構いませんが、ビジネスではアウトプットを出す納期が設定されるので、納期に間に合うように効率よく調査することが求められます。

 調査方法は主に文献やインターネットから情報を収集する「文献系」の調査と、アンケートやインタビュー、聞き込みなどの「人間系」調査、「地理情報系」の調査などがあります。

(1)文献系の調査がメインの仕事
  研究者:人間系の調査や実験などがメインとなる場合もありますが、大学研究者や在野の研究者は文献調査の多い仕事です。
  国家公務員T種U種の仕事:官公庁の仕事は、行政施策の企画や白書の作成など調べもの多い仕事です。統計学の知識があると有利です。
  翻訳者:翻訳はただ外国語の文章を読解するだけの仕事ではありません。出版翻訳にせよビジネス翻訳にせよ、専門分野の深い知識が求められ、調べものがかなり上手くなければ務まりません。
 ほかにも図書館司書国会図書館勤務、 特許関係の仕事エコノミスト企業の法務職サーチャーなどの仕事があります。
 求められる能力は、物事の本質を掴む力や読解力、分析力、語学力、文章力などです。

(2)人間系の調査がメインの仕事
  警察刑事職探偵(興信所勤務) 一般企業の人事 ヘッドハンター
  人を見る洞察力やうまく回答を引き出すための質問力などが求められます。

(3)「文献系」「人間系」両方の分野で高度な調査能力が求められる仕事
  弁護士 医師 コンサルタント・シンクタンク勤務 新聞記者 雑誌の編集者 ライター
  リサーチャー 企業の企画職・市場調査部門 
  調査力だけでなく、企画力、問題解決能力が求められます。


(4)「地理情報」の調査をおこなう仕事
  トラベルライター ロケーション・コーディネーター



調査会社勤務(リサーチャー)
 調査会社/リサーチ会社と一言でいっても実情はさまざまです。企業の信用調査をおこなう会社もあれば、探偵事務所や興信所のような調査会社、マーケティングリサーチの会社、各産業分野の技術動向や投資動向の調査を実施する会社(→産業調査会社研究員)、テレビ番組の企画に伴う調査を実施する会社(→リサーチャー)、競合比較をおこなう会社、社会調査を専門とする会社もあります。
 マーケティングリサーチ(市場調査) の会社では、インターネットを利用した調査(アンケートやトラッキング調査)や街頭インタビュー、訪問面接調査、電話調査、郵送調査、商品モニター調査、ミステリーショッパー調査などをおこないます。具体的にはまず、顧客が求める情報を見極めるのに最も効果的な調査方法を予算に基づいて企画し、調査計画書と見積もりをクライアントに提示します。街頭インタビューや訪問面接調査、電話調査では調査員のアルバイトをアレンジする必要があります。調査実施後は分析結果を報告資料にまとめ、クライアントに対し、必要に応じて説明会を開きます。

 『リサーチャーの仕事』 小島史彦 (著)  日本能率協会マネジメントセンター (2000/02)
 『マーケティングリサーチの論理と技法』 上田拓治 (著)  日本評論社 第2版 (2004/09)
 『マーケティング・インタビュー』  上野 啓子 (著) 東洋経済新報社 (2004/7/30)

データマン
 おもに雑誌記者やジャーナリスト、ライターのアシスタントとして、過去の新聞記事や雑誌記事、インターネット上の情報を収集するほか、各種の取材や調査をおこないます。(→ライター

 『「書く」ための「聞く」技術』  小田豊二(著)  サンマーク出版 (2003/6/19)
 『「聞く技術」が面白いほど身につく本 』 武藤清栄(著) ベストセラーズ (2005/05)
 『質問する技術が面白いほど身につく本 』 櫻井弘(著), 内山辰美(編集) 中経出版 (2003/7/1)

ミステリーショッパー(覆面調査員)
 クライアントの依頼に基づき、一般客を装ってクライアントの経営傘下にある店舗を訪れ、従業員の接客態度や勤務態度、サービスの質、商品の品揃えなどの実態調査をおこなう担当者です。マーケティングリサーチ会社に就職するか、リサーチ会社と契約を結ぶ必要があります。
風評調査員
 企業のリスクマネジメントの一環として、インターネット上に飛び交う「口コミ」情報を把握したいというニーズが高まっています。風評調査員は、顧客企業の依頼に基づき、ネット上の掲示板やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、ブログなどを巡回し、あるいはさまざまな検索テクニックを用いて、クライアント企業に関する内部告発や個人情報漏洩、ネガティブな噂がないかどうかを調査し、レポートを提出します。
 風評調査員になるには、風評調査の専門企業やインターネット・リサーチ会社、企業のリスクマネジメント企業、クリッピングサービスの会社などに採用される必要があります。

サーチャー(調査業務実施者)/パテントサーチャー
 おもに製造業(医薬品・化学などが多い)を営む一般企業や研究機関の依頼に基づき、関連する分野の先行技術やそのパテント内容を調査する専門職です。特許情報は膨大なデータベースになっていますが、言葉の使い方等によって一般的な検索では関係する特許情報が得られないケースがあります。パテントサーチャーはデータベースの高い検索スキルを備えて必要な情報をもれなく収集しなければなりません。


ヘッドハンター
 企業の人事部門に依頼されて、その企業が求める人材(エグゼクティブ、エンジニア、専門職ほか)を探し出す人材紹介の専門家です。必要に応じてターゲットとなる人材のバックグラウンド調査やクライアント企業との面談・条件交渉まで手がける場合もあります。したがって幅広い人的ネットワークと調査能力のほか、交渉力、説得力が求められます。おもに人材紹介会社やリサーチ会社に属するか、またはそれらの会社と契約を結びます。
統計調査員(非常勤公務員)
 地方自治体は、小売物価の統計調査や家計調査、労働力調査など、定期的に統計調査を実施しています。統計調査員は、調査地区の事前調査から始って、調査対象者への依頼、調査票の配布・収集、記入方法の説明、集めた調査票の審査や報告などを担当します。具体的には指定された事業所や個人宅を訪ねて調査強力の依頼や調査目的の説明が主な仕事になります。高度な統計学の知識は特に要求されません。
  統計調査員になるには事前に「登録調査員」として登録される必要があります。多くの場合、地方自治体から委託された民間の調査会社が地方求人誌などで募集しているため、求人誌をこまめにチェックしましょう。あるいは、各自治体の統計調査部門に問い合わせてみるのも一つの手です。




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