私は数年前、旅先で34歳の男性と知り合いました。彼は早稲田大学を卒業して中堅商社に就職しましたが、5年ほど勤めて自分が商社マンに向いてないと判断し、自主退職して「はり師」になることを決意しました。3年ほど専門学校に通って資格を取得し、はり師の見習いとして治療院で働いていましたが、東洋医学への関心はさらに深まり、東洋医学と西洋医学の融合を目指して医師になることを決心。大学医学部を受験すべく予備校で若い学生に混じって勉強しました。そして一度は受験に失敗したものの、二度目にみごと入学を果たしたそうです。
私は30歳を超えて医師を目指す人がいるとは思ってもみませんでした。しかも、もともと文系出身の人なのです。「英語の勉強は社会人になっても必要だったから、あまり受験勉強をしなくても済んだが、数学だけは難しかった。でも、高校時代にはどうしても苦手だった数学や化学でも、必死に講師に喰らいついて勉強したらすっと理解できるようになった」と言っていました。
適職探しは早ければ早いほど有利です。しかし、彼のように、社会に出てから「こんなはずではなかった」と思うことはよくあります。それは学生時代に得たわずかな情報だけで判断しても、実際に仕事につくと自分の思っていたこととの差がわかるためです。厚生労働省「新規学校卒業就職者の就職離職状況調査」の直近データによると、入社3年目までに離職した人はおよそ35%に達しています。
私も大学時代を振り返ってみると、つくづく将来について何も考えてなかったなあと思います。ただ周りのみんなが大手企業を目指しているから、というだけで安易な就職活動をした気がします。本サイトをつくったのも、じつはその反省を踏まえてのことです。
どうしても現在の職業が自分に向いていないと思った場合は、別の道を探しましょう。しかし、今の仕事が気に入らないから、上司と合わないから、という単純な動機で転職するのはお勧めできません。じっくりと自分のやりたいことや適性をレビューし、人生設計を練り直し、できれば次の仕事のメドが立ってから職を辞するよう心がけることがたいせつです。
リクルートワークス研究所の『中途採用計画調査2007』によると、2006年度の中途採用実績数は前年に比べ30%を超える伸びを示し、およそ約163万人に達しています。
新卒入社から約3年以内に離職する若年層は、近年「第2新卒」と呼ばれています。新卒者採用だけでは良い人材が集まらないと不満を抱く企業は、この「第2新卒」の採用に強い関心を示しています。
企業側としては、第2新卒を採用するメリットは、いちど会社員を経験することで一定のビジネスマナーや社会常識を身につけている点、自分のやりたいこと、具体的な職種イメージがはっきりしている点、新卒者に対する刺激剤になる点、などを挙げています。とはいえ、第2新卒といっても社会経験は少ないため、新卒者としては、採用面接時に経験をアピールするよりも、仕事や専門性に対する熱意や態度をアピールすべきでしょう。
公務員(→国家公務員、→地方公務員)の採用も、概して30歳くらいまでは中途採用の道が開けているようです(個別の採用条件によります)。
前述した『中途採用計画調査2007』の2006年中途採用実績によると、35歳以上の構成比が約34%となっています。意外に多いように感じる人がいるかもしれませんが、企業規模で言うと、300人以上の企業では20%代に減少しますし、近年の好景気による影響も考えなくてはなりません。
やはり、特別な技能や知識のない限り、40歳を過ぎてから希望通りの転職を果たすことは、依然として厳しいと考えるべきでしょう。
派遣の仕事はわりとあります(たとえば近年需要が増しているコールセンター業務など)。しかし、やはり「自分にはキャリアがある」というプライドが邪魔をして、素直に新しい仕事を学ぶことが難しいようです。受け入れる側としても、指導する相手が自分より年齢が高いとやりにくいといいます。
そうすると結局、行政書士や社労士などの資格を取るか、マッサージ師(鍼灸師や指圧師など)の免許を取得して開業するか、飲食店やお店を始めるしかありません。自営業はそうとう真剣に取り組まなければ失敗します。同じ店を10年以上続けられる人の割合は1割に満たないという話を聞いたことがあります。ですので安易な独立・起業はお勧めできません。
若い人で「たった一度の人生なんだから、いろんな生き方をしてみたい」と思っている方は、専門性の高い職業をあらかじめ選択し、スキルを磨いた後、計画的に行動してください。
『やりなおしたい30歳以上のための就職読本―データとブログでシゴトがわかる! 』
大内明日香(編集) 幻冬舎 (2006/03)
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