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国際協力師とは、NPO法人『宇宙船地球号』が提唱する職業人の概念で、国際協力の世界で無償のボランティアではなく給料を貰って働くプロフェッショナルを指します。
国際協力師と呼ばれるのは次のような人たちです。
(1)国際協力機構(JICA)や国際協力銀行(JBIC)など、国際協力に関係する日本の国際関係団体職員
(2)国際協力機構(JICA)の要請に基づいて途上国に派遣される国際協力専門員
(3)国連や国連の専門機関(世界銀行など)の職員 (→国際機関職員)
(4)アジア開発銀行(ADB)や欧州復興開発銀行(EBRD)などの国際開発金融機関職員
(5)非政府の国際協力団体(NGO)職員
(6)開発コンサルタント職員
ほかにも「企業の社会的責任(CSR)」意識の高い一般企業に所属し、専従で国際貢献活動にあたる会社員などが含まれます。
国際協力の仕事の目的は、発展途上国で暮らす人々の健康を守り、貧困を減らすことです。
かつては「産業基盤や交通インフラの整備が産業を生み、雇用を増やし、最終的には貧困を減らす」という考え方から、ODA(政府開発援助)といえばプラント建設がほとんどでした。しかし、現在では、貧しい人たちの意識の向上や環境への配慮などを考えると、教育や医療、行政システムの構築といったソフト分野での支援をしたほうが高い効果が得られるという考え方が主流になってきています。
各種のプロジェクトは、土木・建築・IT・医療・教育などの専門家が集まって進められます。しかし、そうした分野の専門家たちだけでは成り立ちません。必要な資金を工面する仕事や経費管理の仕事(→経理)、途上国政府の問題点を指摘して改善策を提言する仕事、根回しやコーディネートをする仕事など、さまざまな人が必要です。
(1)や(3)(4)は、日本をはじめとする各国の政府機関その他との折衝や根回し、お金の管理、プロジェクトの進行管理をするのが主な仕事です。ですから、そこでは高度な外国語コミュニケーション能力や交渉力が要求されます。
現地に赴いて貧しい人たちと直接ふれあい体を使って援助活動をしたい人は(5)を目指しましょう。他の選択肢に比べると、高度な専門性や学歴は問われません。但し、給料はたいてい少なく、基本的に無給に近いボランティアから始まることになります。
組織によって就職できる条件はさまざまですが、おおむね次のような資格や経歴が必要です。
・TOEFL600点(CBT210点)以上の英語力
・開発援助に関係する分野での大学院修士号、あるいは教職・医師・看護師などの免許
・国連ボランティア・青年海外協力隊・NGO等に参加しての約2年以上にわたる途上国勤務経験
・開発需要の大きいアフリカ諸国で公用語となっているフランス語をはじめとする第2外国語の能力
なお、 国連ボランティアの応募資格は25歳以上で、おおむね大学卒、最低でも2〜3年以上の職務経験が必要です。詳しくはこちら(→国連ボランティア)をご覧ください。青年海外協力隊についてはこちら(→青年海外協力隊)、NGOについてはこちら
(→国際協力NGOセンター)をご覧ください。
ほかにも在外公館派遣員制度(→国際交流サービス協会(IHCSA))といったものがあります。
もしあなたが国際貢献・国際協力に関わる仕事に就きたいと思っている中学・高校生なら、まずはどういった分野で働くつもりなのか決めなくてはなりません。
確かに高度な語学力が必要とされますが、なんとなく漠然とした気持ちのままで外国語大学や一般的な大学の国際関係学科に進学しても、国際協力という観点からすればあまり役には立ちません。また、国際貢献の仕事に就きたいからといって大学院で開発経済学を学ぶ人は多いのですが、人数が多いだけにそれだけでは「売り」にはなりません。むしろ、医療や看護、栄養学、農林水産、環境技術、職業訓練、スポーツ指導などの分野で需要があります。
文科系なら行政・法律・政治・経済・財政・福祉・財務・広報・統計などの分野で修士・博士まで進む気構えで臨むことをお勧めします。
理科系なら今後は土木・建築分野より、むしろ、エネルギー・環境・農林水産・情報科学の分野が期待されています。
現在、大学生であれば、開発に関係する専門分野で修士に進むことを考えましょう。NGO職員なら学歴は問われませんが、国連や政府機関で正式雇用されて働くプロフェッショナルを目指すなら、基本的に修士号は欠かせません。語学を本気で鍛える上でも、できれば海外の有名大学院で修士課程に進みましょう。
高度な英語力や第2外国語能力を身に着けるのはもちろんですが、NGOや一般企業でのインターンを経験したり、ユネスコなどの国際機関や政府機関、NPOが主催するスタディ・ツアーに参加するなどして、途上国でのボランティア経験を積むことも大切です。
一度、社会人を経験して、どうしても国際貢献の仕事がしたいのかどうか、そのための適性があるのかどうか、しっかりと吟味した後に、大学院や青年海外協力隊、国連ボランティアなどを経験するのが望ましいと言えるでしょう。
国際貢献の仕事をめざす人は想像以上にたくさんいます。ですので、ボランティアではなく有給で働くプロを目指す場合は、競争が著しく激しいことを忘れてはいけません。また、国際協力師の仕事のほとんどは、ODAをはじめとする政府の歳出予算から給料が支払われていることも、じゅうぶん承知しておく必要があります。国連の仕事についても、日本の国連分担金が少なからず使われています。
つまり、日本の経済力が衰えて税金収入が減少すれば、国家予算から割り当てられる額が減って、仕事自体がなくなることも考えられるのです。
国連職員やJICA職員になるのは大変です。IT(→ITのプロになりたい)、エンジニアリング(エンジニアになりたい)、都市開発・地域開発、農業・水産開発(→農林水産技術者)、財務(→財務・会計のプロになりたい)、職業訓練(→職業訓練指導員)、産業技術教育、医療保健(→医療関係の仕事)、災害対策などの分野で高い専門性を身につければ、官公庁(→国家公務員)や地方自治体(→地方公務員)、公益法人、民間企業に就職してもじゅうぶん活躍できます。そこでさらなる専門性を磨くとともに英語力を養えば、やがていろんな形で国際貢献のチャンスがめぐってくるでしょう。
たとえば現在、MIT(マサチューセッツ工科大学メディアラボ)のニコラス・ネグロポンテ氏らが中心になって、世界中のすべての子どもにパソコンを供給しようという「One
Laptop Per Child」運動が大きな盛り上がりを見せています。実際に100ドルパソコンが数十万台も出荷されたとのニュースがありました。OSにはマイクロソフトのWindowsではなくLinuxが使われています。
貧しい国の子供たちがITを学び、プログラミングやネットワーク、コンテンツ作成の技術を学んで職を得るには、ハードを与えられただけでは意味を成しません。今後はITのトレーナーや現地人のITトレーナーをトレーニングする人材が求められると想像できます。
なお、100ドルPCの件で考えさせられるのは、その内容ばかりでなく、国際協力のあり方における企画力の必要性です。
例えばアニメやゲームなどといった日本のコンテンツ力が注目されている現在、途上国でアニメなどのコンテンツをつくる人材を育成するプログラムを企画することも考えて良いのではないでしょうか。
じつのところ、日本の国際協力で最も必要とされるのは、分かりやすい形で効果的な大型協力プログラムを企画推進できる人材なのかもしれません。
国際協力NGO職員
在住外国人との交流イベントの企画・運営やフェアトレードへの参加、海外の貧しい人々を救うための救援活動や支援活動をおこなう仕事です。
収入としては、大型の国際NGO職員の場合、月給が30万円以上になるケースもありますが、日本のNGOではほとんどが10万円前後かそれ以下です。ですから、まず第一に見返りを求めたり、指示を待つのでなく、自分から何かしようというボランティア精神、そして忍耐力が求められます。
語学だけでなく、会計や総務、広報などの職務経験など、何かひとつ強みとなる経験や技能があると有利です。
イベントの手伝いやボランティア活動から開始し、経験を積んだ後に職員に採用されるケースが多いです。 (→国際協力NGOセンター)
開発コンサルタント
開発援助を求める国が行う開発計画の作成支援やプロジェクト管理をおこないます。開発分野は多岐にわたりますが、現在のところダムや発電所等のプラント建設、港湾・道路整備などに関わる技術コンサルタントが過半数を占めており、新卒採用は土木・建築・工学関係の大学・大学院の卒業生が中心となっています。ただし、途上国の政策支援や市場経済化支援、地球環境関連、農業、医療・保健、福祉、地雷対策(→自衛隊に入りたい)、職業能力開発支援などの分野も注目されており、幅広い才能が求められています。
開発コンサルタント会社に就職するには開発の専門分野に通じるとともに優れた語学力が要求されます。文科系であれば、コンサルタント企業のインターン制度に応募したり、コンサルタント企業の総務や経理部門に就職する道があります。国際協力事業団に登録されているコンサルタントは公益法人も含んで500あまり、個人コンサルタントも百数十名います。詳しくはこちら(→海外コンサルティング企業協会)をご覧ください。
なお、本ページの参考文献は、NPO法人『宇宙船地球号』代表が著した『国際協力師になるために』です。本書は国際協力の分野で有給のプロとして働くために何をすべきか、どこからどういった情報を入手すれば良いのか、について詳しく述べています。
【参考図書】
『国際協力師になるために 』 山本敏晴(著)
白水社 (2007/06)
『平和な世界をつくりたい
(14歳になったら考える地球を救う仕事 1)
』 くさばよしみ (編さん) 汐文社 (2008/02)
『国際協力ガイド
(2008) 』 国際開発ジャーナル社
(2006/10)
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