メディア別の日本の広告費シェアではインターネットに追い抜かれましたが、ラジオはほかのメディアと違って聴覚だけに訴えますから「ながら聴取」が可能で、トラック運転手など頻繁に車を使う人たちや製造現場、建築現場、港湾等で働く人たちはラジオを聞きながら仕事をすることが多く、他のメディアとの棲み分けが成り立っています。また、災害時の情報供給や細かな道路交通情報、地域イベント情報で強さを発揮しており、地元密着型のメディアとして重要視されています。
中央のラジオ局は採用数が少なく超難関ですが、地元のラジオ局で働くことも考慮に入れれば、あるいはコミュニティFM局やインターネットラジオ局まで視野に入れるとチャンスは大きく広がります。
ラジオ局には、NHKのようなテレビ・ラジオ兼営局とラジオ単営局があります。兼営局の場合、ラジオは広告収入額がテレビに比べ低いため、片手間的な扱いになりがちですが、単営局の場合はイベントや音楽ジャンルとのタイアップ、ソフト販売などに活路を見出そうと必死に取り組んでおり、プラニング能力に優れた人材を求めています。
ラジオ局は一般に制作部、報道部、編成部、管理部、営業部、技術部に分かれており、大手ではスポーツ部やイベント部が分かれているケースもあります。
テレビとの大きな違いは、組織や番組の規模が小さいため、ひとりで何役もかけもちする場合が多いということです。これは自分の意見を番組に反映させやすく、若いうちからチャンスを掴めるという意味です。
ラジオプロデューサー
ラジオ番組制作の最高責任者です。ラジオ局の制作部に所属してスタッフとともに企画を立案し、制作費の管理、出演者の決定・交渉などをおこないます。ラジオへの熱意は当然必要ですが、経営的センスをもって大極的にものごとを考えることが求められます。(→テレビプロデューサー)
ラジオディレクター
ラジオ局の制作部あるいは番組制作会社に所属し、プロデューサーとともにラジオ番組の企画段階から参加して、番組構成から台本づくり、ときにはニュースの事実確認や取材までおこなうこともあります。
テレビの世界ではADからディレクターに昇進するまで一般的に3年かかると言われていますが、ラジオ局では1年以内にディレクターになることも可能です。ラジオ局のディレクターは、AP(アシスタントプロデューサー)を経てプロデューサーへとステップアップします。(→テレビのディレクター)
制作以外のラジオ局の仕事
―編成部門
ラジオ放送の顔ともいえる番組表を組む仕事です。放送局としての姿勢やスポンサーの意向、聴取率、聴取者アンケートの結果などを考慮して、番組の方針や放送順序、時間帯を決定します。テレビの場合、コーディネータ的な仕事がほとんどですが、ラジオの場合は企画からイベント、宣伝まで広範囲な仕事をカバーするのが一般的です。
(→テレビの編成担当)
―報道部門
アナウンサーが所属し、ニュースや天気予報、交通情報などを伝える部署です。
―管理部門
総務や人事、経理、経営企画などの仕事を担当します。
―営業部門
番組のスポンサーやCMスポンサーに番組の主旨を伝えるほか、スポンサー料金の交渉などをおこない、ラジオ局の収益基盤である広告収入の拡大に努めます。既存スポンサーとの関係維持と共に、新規スポンサーの開拓もおこないます。
―技術部門
音声ミキサーが所属し、ミキサー業務や音響機材の保守・点検・整備、スタジオの管理ほかラジオ局の運営に関わる全ての技術的な側面を担当します。
ラジオアナウンサー
テレビと異なり、容貌や表情抜きで声と口調だけで勝負するのがラジオアナウンサーの特徴です。原稿を見ながら話せるので楽だと思われがちですが、その分トチリは致命的で、テレビよりも声の表現力が重視されます。
(→テレビのアナウンサー) (→野球スタジアムの場内アナウンサー)
【参考図書】
『スキッピーが行く―NBCラジオレポーターの日々 』 八坂
由美 (著) 長崎新聞社 (2005/03)
『志村正順のラジオ・デイズ 』 尾嶋
義之 (著) 新潮社 (2001/04)
音声ミキサー
スタジオの隣にある調整室で、ディレクターと共に常に番組を監視し、出演者がマイクに通す声や音楽、効果音などラジオ局が電波に乗せる全ての音の音質や音量をミキサー卓で調整します。機材の調整・保守・点検が重要な仕事で、中継に出る場合は機材の運搬も自分でおこないます。テレビ局では「MAミキサー」「音声」「音響効果」という風に役割分担が明確ですが、ラジオの世界では基本的に一人で担当します。
ラジオ局の技術部門に所属するか、あるいは番組制作会社や音響関係の専門会社に所属しており、理系の大学出身者や音響系の専門学校を卒業した人が多いです。
(参考:→音響技術者)
実務技能検定協会のA・R検定(ラジオ音響技能検定)や、スポーツ中継の際に必要な陸上無線技術士の資格やがあると有利でしょう。ただし、技術力だけでなく、周囲の人と円滑にコミュニケーションをおこなう能力や、聴取者がずっと聴きたくなるような心地良い音量バランスや音質を判断する感性が大切です。
詳しくはこちら(→ 無線従事者)をご覧ください。
『無線従事者国家試験問題解答集
第一級陸上無線技術士 』 電気通信振興会
(2006/02)
ラジオパーソナリティ
ラジオ番組で音楽やリスナーの投稿を紹介し、ときにはゲストを呼んだりリスナーと電話で話をしてクイズを出すなどして番組を盛り上げる仕事です。近年のお笑いブームに見られるよう、トークの力はひとつの才能として広く認められるようになりました。ラジオ局のアナウンサーやアイドル、お笑いタレントなどになるのが一番ですが、地域のコミュニティ放送局がときおりラジオパーソナリティのオーディションをおこなっていますので、地方在住の方にもチャンスがあります。
ラジオDJ
音楽紹介を主体とした番組で、アーティストや曲のタイトルを紹介するほか、リスナーからのメールを読んだり、ゲストやリスナーと会話をしたり、音楽に関するトークをおこなったりします。ラジオ局によっては「サウンドクルー」や「ナビゲータ」と呼んでいるところもあります。
近年ではトーク主体の番組が増えており、曲の選定はディレクターがするケースも多く、ラジオDJというよりラジオパーソリナティと呼ばれることが多くなっています。
ラジオパーソナリティ(ラジオDJ)になるには特別な資格や学歴は必要ありませんが、アナウンサーの養成学校などに通い、聴き取れやすい発声法の訓練(ボイストレーニング)や当意即妙なトーク力を身につけると良いでしょう。あとはラジオ局のオーディションに参加したりボイスサンプルテープを作って売り込むなどの営業努力を積みます。特定の音楽ジャンルに精通するなどの強みがあればベストです。ラジオパーソナリティ(ラジオDJ)が所属する芸能プロダクションもあります。もっと知りたい方はこちら(→ パーソナリティ・DJ)をご覧ください。
構成作家
番組制作会社に所属するかフリーランスの立場で、プロデューサーやディレクターと共に番組を企画し、取材の下調べや構成台本を書くなどの仕事をします。
コミュニティ放送局
市区町村の一部の地域において、地域に密着した情報を提供するための放送をおこないます。76.0〜89.9メガヘルツの間の周波数を使用し、開業には放送事業者として電波法に定められた無線局免許が必要です。電波形式としてFM(周波数変調方式)を使用するところがほとんどなので、一般にコミュニティFM局と呼ばれています。ちなみにミニFM局は電波法上、出力の制限がある一方で無線局免許は不要です。社会に貢献するコミュニティ事業なので、NPOとして運営でき、自治体の助成金や出資が受けられる可能性もあります(→社会貢献がしたい)。
インターネットラジオ局
インターネットプロトコル(IP)を通じて音声でできた番組を配信します。一般のラジオ放送とは違って電波を使用しないため、電波法に基づく放送免許は求められません。ホームページを公開するやり方で、ストリーミングサーバを一般公開しているウェブサイトやレンタルサーバーなどを利用すれば、費用はわずかで済みます。但し、音楽を配信する場合には、著作権法の対象となるため注意が必要です。
事前に収録した放送内容をアップロードして利用者が好きなときに聴取できるオンデマンド方式と、録音機器で収録した内容をただちに音響データに変換してリアルタイムに配信するライブ方式があります。ポッドキャスティング方式の放送も一般的になってきました。
このページは以下の本を参考としています。左の本はテレビやラジオ、BS・CS放送、CM制作に関わる仕事について詳しく説明し、巻末には放送関係の専門学校や番組制作会社、ポストプロダクションの名をリストしています。右の本はラジオ業界に特化し、とくにラジオディレクター、ラジオDJ、音声ミキサーの仕事をピックアップし、漫画をまじえて分かりやすく丁寧に説明しています。
【その他の参考書】
『メディア業界ナビ〈2〉テレビ局・ラジオ局64の仕事 』 メディア業界ナビ編集室
(著) 理論社 (2006/11)
ケイコとマナブ.netで関連する資格について知りたい方は マスコミ(放送・出版・広告)、映像、芸能)をご覧ください。
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