製造業は、ざっくり言って、鉄鋼・化学・繊維などの素材分野、食品・衣料・医薬品などの消費財分野、自動車・電機・精密機械・半導体などの電機・機械分野の3分野にわかれます。
製造業の仕事を商品化の流れに従って説明すると、およそ以下のようになります(筆者が以前に所属していた精密機器メーカーを例にとりましたので、受注生産が中心の製造業や素材分野とはやや異なります)。
全体スケジュールに従って、商品企画担当は、開発部門の設計者、工業デザイナーと共に、既存製品をベースに新技術や市場ニーズを織り込んで新商品のコンセプトをつくります。必要に応じて研究部門は新技術を提供し、マーケティング部門は市場ニーズや競合状況を調査します。研究段階や企画段階、開発段階で生まれた新しいアイデアは、知的財産部門が主体となって特許申請をおこないます。
コンセプトをもとに開発設計部門と工業デザイナーは試作品をつくり、関係部署が集まってデザインレビューや価格レビュー、スペックレビューを重ねます。その結果をもとに製造技術者は開発設計者の協力のもと、量産試作品をつくります。
製造技術者は量産化に向けて資材部門(購買部門)と共に部材メーカーと交渉を重ね、製造技術部門と製造管理(生産管理)部門が量産性を高めるために製造ラインの見直しや作業者の指導をおこないます。品質技術者は新製品の品質管理基準を作成し、それに基づいて量産試作認定・量産認定をおこないます。
その間、商品企画やマーケティング部門(製品導入部門)は試作品を営業に紹介したり展示会に出品したりします。販促部門は営業向けのカタログ・販促資料を作成し、広報・宣伝部門はプレスリリースや記者会見を通じて報道機関に新商品を紹介します。
なお、上記は完成品メーカーの場合であって、受注製品の場合は、営業が契約を結んだ後に、顧客企業がデザイン・仕様決定に深く関わります。
既存の製品とは全く異なる新商品をつくる場合、製造から販売チャネルまで既存の体制では対応困難な場合があるため、事業開発部が中心となって、各部署から選任されたメンバーとともにプロジェクト体制で臨みます。
営業は既存の顧客や新規顧客に商品を紹介して顧客と売買契約を結びます。
カスタマーサポート・サービス部門、カスタマーエンジニアは市場クレームに対応し、必要に応じて品質管理部と打ち合わせ、大きな問題の場合は営業や法務部、開発設計者なども集まったうえで補償や仕様変更を検討します。
物流部門は迅速かつ低コストに商品が輸送されるよう、ロジスティクス戦略を策定します。
大量の製品や部品を扱っているメーカーでは部品の発注から売上げ伝票の処理までシステム化が欠かせないため、情報システム部門がこれに対応します。
[大学生の方へ]
メーカーはものづくりが基本なので、ほとんどの場合、理系大学生・大学院生の採用数が7割以上を占めます。
理系の新入社員の多くは開発設計や研究部門に配属されますが、製造技術部門、品質管理部門、知的財産部門に配属されるケースもあります。素材や自動車、電機・機械、素材、医薬品などの分野で国際商品を製造するメーカーでは英語はマストですので、日ごろから慣れ親しんでおくべきでしょう。エンジニアの仕事はこちらにまとめています。
文系の場合、総務や人事、経理などの管理部門や営業、海外営業、海外マーケティング、経理、情報システム部門に配属されるケースが多いです。工場勤務になる場合もあり、その場合は主に工場の総務・人事・経理や生産管理、資材部などに配属されます。経営企画や商品企画などの企画業務や広報・宣伝は、営業などを数年経験してから配属されるケースが多いようです。
日本の製造業の要はなんといっても特許などの知的財産です。また、海外との事業提携の動きも今後さらに広がるでしょう。メーカーで海外勤務を希望する学生は、ただ英語で日常会話ができるだけでなく、国際法務や英文会計などの専門分野をもちましょう。
『医薬品・化粧品〈2008年度版〉 』 勝呂敏彦(著)
産学社 (2006/10)
『食品〈2008年度版〉 』 芝崎希美夫(著) 産学社
(2006/10)
資材部・購買部
部品や原材料を提供する業者を選定し、価格や取引条件の交渉にあたる仕事です。新製品の開発に着手する際、新たな部品・原材料メーカーから部材の調達を受ける場合、資材部は供給条件について部材メーカーと基本契約を結びます。量産後は、製品のコスト削減のため、設計者や品質管理技術者の協力のもと、同じ品質・供給条件で部材を提供する業者を見つけて価格交渉などをおこなうことがあります。
生産管理
生産計画を立案し、製造の進行をコントロールする仕事です。開発段階では試作品の完成に向けて部品の手配数量や納期を管理します。開発時には部品の仕様変更が頻繁にあるため、部材メーカーと細かいコミュニケーションをおこないます。量産段階ではラインの人員計画や部材調達、また生産管理システム(部材発注・コスト管理・工程管理)の見直しを常に考えます。
物流部門・ロジスティクス部門
日本ロジスティクスシステム協会の2006年度物流コスト調査結果によると、製造業における売上高物流コスト比率は4.92%。物流システムの重要性がいかに高いかが伺われます。
物流部門の仕事は部品の受け入れ・保管、製品の梱包・倉入れ・保管・輸送をコントロールすることです。実際の現場でフォークリフトを使って製品の積み上げ・積み下ろしをするだけでなく、輸送・保管にかかる総コストを削減し、効率的な物流がおこなわれるよう、倉庫会社や運輸会社、輸送保険会社と交渉を重ねます。製造拠点や部材メーカーが世界中にあるメーカーでは、ロジスティクス計画の立案・企画で大きな役割を果たします。
職業能力開発促進法に基づく国家資格として「工業包装技能士」があります。国や各都道府県の職業訓練校に入学して関係する学科を修め、実技試験に合格することで取得できます。
【関連資格】
―フォークリフト運転技能士 詳しくはこちら(→ フォークリフト運転技能講習)をご覧ください。
製造スタッフ
製造業の工場でものづくりをおこないます。→工作・ものづくりが好き
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