知的財産権は世界に誇れる技術やコンテンツをもつ日本の生命線です。日本政府は、2002年にまとめた知的財産戦略大綱のなかで「知財に関する高度なサービスを提供する専門家の育成が急務」と述べています。特にアメリカや中国の知的財産法に熟知して国際的な知財紛争にも対処できるスペシャリストが求められています。
製品技術特許はもちろんですが、アニメやゲームなど日本の文化コンテンツに対しても世界的な評価が高まり、音楽や出版物、キャラクターの権利ビジネスが重要になりつつあります。(→キャラクタービジネスの仕事 →音楽出版社 →版権ビジネス)
特許出願や特許係争に強くなるだけでなく、権利ビジネスに関するコンサルティング能力があると仕事が広がります。(→コンサルタントになりたい)
弁理士・特許事務所勤務
発明や考案、デザイン、商品名などを特許権・実用新案権・意匠権・商標権等の産業財産権を権利化するため、特許庁への出願準備から登録までをおこなう仕事です。また、権利範囲の明確化や侵害訴訟についても相談に応じます。特許庁が実施する弁理士試験に合格する必要があります
(→特許庁)。
日本企業の技術競争力を高めるため、弁理士合格者の数は以前に比べて増加し、現在のところ6百数十名。最終合格率は約7%。合格者は理系の大学・大学院卒業者がほとんどですが、法文系も十数パーセントいます。合格者は一般会社員や特許事務所に勤務する人が多いです。合格するにはまず独学で基本書を徹底的に読み込み、それから資格スクールに通って体系的に学習するのが一般的のようです。また、情報通信分野やバイオ、医療など得意分野をもつことも大切です。
【参考書】
『弁理士試験への招待 』 法学書院;
改訂版版 (2005/01)
『ざっくりゼロからわかる!知的財産権 』 東京リーガルマインド
(2005/04)
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企業の知的財産部
企業のもつ特許権や意匠権、 商標権等を守る仕事です。国内外での権利化を積極的に進めるとともに、係争にあたっては当事国の特許弁護士と協同で、問題の解決にあたります。メーカーの場合、特許は技術的に深い内容に関係しているため、理系の大学卒業者で法律及び英語に堪能な人が求められます。また、ビジネスモデル特許などに見られるように事務系社員の知的財産を生かせるような分野では、インセンティブを与えて全社的にアイデアを発掘する仕組みづくりをおこなう企業も増えています。
経済・産業のグローバル化の流れから、これまで以上に特許の海外出願や係争が増えていくのは目に見えています。出願については国内の特許出願エージェントに依頼するのがベストですが、それにしてもある程度、特許実務や海外の特許係争事情に詳しい人材が欠かせないことは言うまでもありません。(→法務部,国際法務,特許翻訳)
【参考書】
『初心者のための特許出願完全・最短理解の手引き 』 葛西
泰二(著) すばる舎 (2001/08)
『なるほど図解
特許法のしくみ 』 奥田
百子(著) 中央経済社 (2005/04)
[関連資格]
知的財産検定(1級・2級)
企業の知的財産部や法務部スタッフにとどまらず、学生・社会人を対象に知的財産関係の法律知識や実務能力を認定する検定です。法務部や知財部を目指す学生は注目!詳しくはこちら(→知的財産教育協会)
特許事務
特許事務所やメーカーなどで明細書や申請書類の作成、出願発送書類の手配等の国内外の特許出願に伴う事務的な仕事を担当します。国際特許を多く出す大手メーカーでは知的財産契約やライセンス契約などに関わる仕事も伴います。
補助的な仕事のため派遣社員が担当するケースが多いですが、特許出願業務の全般が把握できることから、特許事務の派遣社員を経て弁理士や特許翻訳者を目指す人もいます。
特許事務の派遣仕事を探す方は こちらをご覧ください。
パテントサーチャー
特許庁職員
発明やデザインなどの知的財産権を保護・活用して産業の発展に寄与するために、「特許」「実用新案」「意匠」「商標」の4つの産業財産権の適切かつ迅速な審査や法的環境整備、権利の活用支援、国内外での模倣品・海賊版対策などを推進します。
組織は総務部、審査業務部、特許審査第1部〜第4部、審判部から成り立っており、およそ2500人の職員が働いています(2005年)。審査官のほかに、国家公務員II種・III種(行政区分)から事務職員を採用しています。詳しくはこちら(→国家公務員採用試験情報)をご覧ください。
―特許審査官
特許審査官は、全世界から受け付けた特許出願に対して内容を正しく理解し、先行技術を調査し、技術的・法律的観点から特許権を付与するかどうか審査します。ほかにも特許の利用促進をはかる部門や国際協力を担当する部門で働くケースもあります。特許審査官になるには国家公務員試験T種(おもに「理工」区分、「農学」区分は若干名)に合格し、採用面接にパスする必要があります。採用後に審査官補研修を受講して特許審査員補となり、3期にわたる審査官コース研修を経て初任審査官となります。詳しくはこちら(→特許庁の紹介)及びこちら(→国家公務員採用試験情報)をご覧ください。
なお、近年は民間から任期付職員の特許審査官補も採用しています。
―意匠権審査官
意匠権(デザイン権)出願の審査をおこなう仕事です。特許庁が実施する国家公務員試験T種相当の試験「意匠学」に合格する必要があります。受験資格は大学卒業程度ですが、美術・デザイン系の大学卒業者が有利と考えられます。採用数は若干名。詳しくはこちら(→特許庁の紹介)をご覧ください。
―商標審査官
商標登録出願の審査をおこなう仕事です。国家公務員採用II種試験(行政)に合格し、採用面接にパスした後に選ばれます。 採用人数は若干名です。 |