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世の中は金持ちになりたいという人ばかりではありません。
お金など普通に暮らせるだけあればいい、むしろ社会のためになっているという実感こそが大切、という人は沢山います。また、若い頃にがむしゃらに働いて裕福になった人が、中高年になってスローライフを送りたい、社会に貢献したいと考えるようになることもよくあります。
かつて社会貢献といえばビジネスとは無関係の善意のボランティア活動でしたが、時代は大きく変わりました。露骨過ぎる資本主義・品性に欠ける商業主義への嫌悪感からコミュニティをベースとした社会民主主義的な考え方が見直され、ビジネス経験者が営利目的ではない「社会をよくする」活動に関心をもつことで、社会貢献で「食べていける」条件が整いつつあります。
それは経済がじゅうぶん発達した結果、世の中にお金が有り余り、うまい具合に社会に循環させれば、職のない人や貧しい人たちでも贅沢をしない限り餓死せずにすむ社会が実現可能になりつつあることを意味します。
営利を目的としない社会事業はおもに公務員が担ってきましたが、国家財政の赤字が極端に膨らむ一方で、社会保険庁の問題や特殊行政法人への天下りの問題、一部の行政機関の給与不正支給が明らかになり、公務員制度自体が問われています。
単刀直入に言えば、50代の公務員が天下りなどで年収2千万円以上を獲得できる状況よりも、その人の年収を500万円にして、残り1500万円で高齢者介護ができる若年失業者を10人雇ったほうが、社会貢献にも失業率の改善にも(ひょっとしたら経済全体を考えても)メリットが大きいわけです。実際にイギリスでは自治体の仕事の一部を民間に委託させることで、公務員の数を大幅に削減しました。
以上のような状況を背景にして、コミュニティビジネスという言葉がよく聞かれるようになりました。『みんなが主役のコミュニティ・ビジネス』の著者、細内信孝氏によると、コミュニティビジネスとは「地域コミュニティを基点にして、住民が主体となり、顔の見える関係のなかで営まれる事業」のことです。
それはビジネスの視点を取り入れて地域コミュニティ内の問題解決と生活の質の向上を目指す、営利目的のビジネスとボランティア活動との中間的な事業活動で、「町おこし」的な要素を多分に含みます。
細内信孝氏はコミュニティビジネスのテーマの例として、福祉、環境、情報、観光・交流、食品加工、まちづくり、商店街活性化、伝統工芸、安全、地域金融をあげています。
コミュニティビジネスといえばNPO法人がすぐに頭に浮かびます。NPO法人とは、Nonprofit Organizationの略で、日本語では一般的に民間非営利組織と訳されています。広い意味では民間の立場で社会的な活動をおこなう団体を指しますが、厳密には特定非営利活動促進法に基づいてNPO法人格を取得した団体のことです。
似た言葉にNGO(Non-governmental Organization ―非政府組織)がありますが、NGOは政府とは異なる立場であることを強調した組織で、国際協力・環境分野でよく用いられます。それに対して「非営利」であることを強調した言葉がNPOといえるでしょう。
NPO法人は全国に2万6千あると言われています。NPOの多くは賛助会員による寄付や企業からの協賛金、自治体からの補助金をベースに経営をおこなっています。労働費についてはサポーターによるボランティア参加でカバーします。NPOの設立・運営の手引きや申請手続き方法については、こちらを参考にしてください。ただし、コミュニティビジネスの担い手はNPO法人だけでなく、営利法人や市民団体の場合もあります。
コミュニティ・ビジネスの起業成功率は、一般的な起業の場合に5年後に存命している確率が10%ほどに対し、30%を超えると言われています。各地方自治体は、ホームヘルプ・搬送サービスといった介護分野や学校・公共施設の警備分野、ゴミ回収などのリサイクル分野、給食分野で、自治体の仕事の一部を業務委託するほか、地域活性化のために地域マネージャ、地域プロデューサーを育成する動きをはじめています。
人や環境に優しいオルタナティブな生き方を指向する方、社会貢献をしたいと考えている方、品性に欠ける資本主義・商業主義にまみれて生きていたくないと思う方、激しい競争社会には堪えられないという方は、コミュニティビジネスの起業を職業選択の視野に入れるのも一考ではないでしょうか。ただしその場合でも、一度は一般の会社で働いてみて、ビジネススキルや専門知識を磨いてからのほうが良いでしょう。興味のある方はコミュニティ・ビジネス・ネットワークをご覧ください。
なお、国際的な社会貢献に関心がある方は、本サイトの「国際貢献がしたい」をご覧ください。
【参考図書】
『社会起業家という仕事
チェンジメーカーII
』 渡邊奈々(著) 日経BP社 (2007/11/1)
『「社会を変える」を仕事にする
社会起業家という生き方 』 駒崎弘樹(著)
英治出版 (2007/11/6)
著者の駒崎弘樹さん(1979年生)は、慶大在学中に立ち上げたITベンチャーの社長の座を譲って会員制の病児保育サービス「フローレンス」を立ち上げた人です。
本書はグローバルな視点で社会起業や環境、人権に関わる仕事を考える人のために書かれた本です。
海外の事例として、社会・環境問題に貢献したいと考える社会投資家のコミュニティ――Social
Venture Partners (SVP) や社会起業家のコミュニティであるSocial
Venture Network(SVN Japanはこちら)、
企業の社会責任への取り組みを支援する団体、BSR(Business
for Social Responsibility) のほか、環境問題に取り組むアウトドア用品の世界的企業「パタゴニア」や自然食レストランの「ホワイトドッグカフェ」、ホームレスのためのローコストホテルの事例を取り上げています。
また、日本の例として、ロハスの名を日本に広めた環境ファッション誌「ソトコト」編集長の小黒一三氏や障害児用の玩具開発をベースに幅広くバリアフリーの商品作りに取り組む共用品推進機構の星川安之氏、環境貢献の地域通貨をプロモートするアースデーマネーの池田正昭氏、社会責任投資(SRI)と企業社会責任(CSR)を推進するインテグレックス創業者の秋山をね氏の活動を紹介しています。
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