自衛隊の職員数はおよそ24万人(うち約1万人が女性)。陸上自衛隊員が約15万人、海上自衛隊員と航空自衛隊員が約4万5千人ずつです。
自衛隊に入る場合、自衛官の養成機関等を経て幹部候補生となるケースと任期付き採用で入隊するケースの2通りに分かれます。幹部候補生の場合、志願入隊の時点で陸海空に分かれ、基本的に三隊間での異動はありません。
幹部候補生として入隊すればすぐに「3尉」という幹部階級になります。防衛大学校・防衛医科大学校の入学資格は高卒〜21歳未満、大学卒の幹部候補生の採用年齢は26歳未満(但し医科・歯科・薬剤は30歳未満)。
任期制採用の場合、入隊時は3士で部隊配属時に2士となり、最初の任期は2〜3年で修了します。継続したい場合は任期更新・昇進試験を受け、合格すればまた2年。さらに終身コースを選んで幹部を目指すことも可能です。採用年齢は18歳〜27歳未満。
自衛隊はある意味、社会において職業訓練校的な役割を果たしているという考え方があります。幹部候補生は超難関コースですが、任期制採用によって集団生活の基礎を身につけ、その後の職業に結び付けられる技能を取得するというのもアリです。自衛隊では大型運転免許や建設機械関係、調理師、無線通信関係、コンピュータ関係などさまざまな分野の資格が取得できます。但し、それらの資格の多くは最初の任期で取得できるわけではなく、真面目に長く務めてはじめて取得の機会が得られます。自分のやりたいことや適性をよく見定めて自己実現をはかりましょう。
(→自衛官募集ホームページ)
自衛隊の階級昇進コースは次の通りです。
3士→2士→1士→士長→3曹→2曹→1曹→曹長→准尉→幹部(将校)
幹部(一般に将校)は3尉→2尉→1尉→3佐→2佐→1佐→将補→将
3曹以上は班長として部下をもち、下士官と呼ばれます(〜曹長)。3尉になると小隊長になれます。旧日本軍の階級でいえば、3尉・2尉・1尉はそれぞれ少尉・中尉・大尉、3佐・2佐・1佐は少佐・中佐・大佐、将補は少将、将は中将以上です。一般に、たとえば陸上自衛隊の2士であれば2等陸士、海上自衛隊の3曹なら3等海曹、航空自衛隊の士長であれば空士長などと呼ばれます。
なお、本ページの内容は各自衛隊のホームページや『自衛隊で取れる免許・資格 』を参考にしました。
『自衛隊で取れる免許・資格 』 イーメディア
(著) 三修社 (2004/06)
具体的な職種や訓練の内容を分かりやすく解説しています。自衛隊で取れる免許・資格を職種ごとに詳しく紹介しています(本ページに載せているのはごく一部です)
※改訂版が出ました。
『自衛隊で取れる免許・資格
改訂版―自衛隊徹底活用法 』 イーメディア
(編さん) 三修社 (2007/04)
『自衛隊曹候補士採用試験(高卒・大卒程度)〈2007年度版〉 』 公務員試験情報研究会
(著) 一ツ橋書店 (2006/01)
『自衛隊一般曹候補学生採用試験〈2007年度版〉 』 公務員試験情報研究会
(著) 一ツ橋書店 (2006/02)
『集中レッスン
自衛官2等陸・海・空士試験問題集〈’08年版〉 』成美堂出版編集部
(編集) 成美堂出版 (2006/10)
女性自衛官(婦人自衛官)
陸上自衛隊ではWomen's
Army Corpsの略でWACと呼ばれています。母性保護の観点から普通科や機甲科、攻撃ヘリ、空挺部隊など前線部隊への配属は制限されていますが、航空科でも輸送ヘリの操縦、航空管制官、そのほか音楽科や警務科、輸送科、通信科、衛生科等で活躍できます。埼玉県・朝霞駐屯地に幹部候補生学校及び婦人教育隊がありますが、訓練内容・業務内容は男性自衛官と変わりません。
海上自衛隊ではWoman Accepted for Volunteer
Emergency Serviceの略でWAVEと呼ばれています。母性保護の観点から潜水艦勤務などへの配属は制限されていますが哨戒機のパイロットや支援船の船長、艦艇や航空機の整備担当、航空管制官などとして活躍することも可能です。
航空自衛隊ではWomen's Air Forcesの略でWAFと呼ばれています。母性保護の観点から戦闘機系のパイロットになることは制限されていますが、輸送機や救難ヘリなどのパイロットとして活躍することは可能です。
■陸上自衛隊(陸自,JGSDF―Japan
Ground Self-Defense Force) →陸上自衛隊のオフィシャルサイト
陸上自衛隊の隊員数は、自衛隊全体の60%以上を占めています。任期付き採用の場合、入隊時は3士で、約3ヶ月にわたる新隊員課程・前期(集団生活訓練や基礎訓練)を経て自分に向いた職種を選択します。本人の希望がそのまま通るわけではなく、適性検査や教官の所見によって決まります。新隊員課程・後期で職種ごとの教育を受けると、2士として各部隊に配属されます。選考されて陸士特技課程に進むこともあります。
陸上自衛隊の主力は普通科部隊で、師団の下に約1200人からなる連隊があり、連隊の下に4個普通科中隊、1個重迫撃砲隊、1個対戦車中隊があります。連隊の本部には中隊本部や本部班・人事班・対射撃班・情報小隊・通信小隊・輸送小隊・衛生小隊・整備管理小隊・施設作業小隊が置かれます。
実戦では普通科部隊が機甲科(戦車)、特科(砲兵)、航空科(ヘリコプター)、施設科(工兵)と一緒になって戦闘団を組みます。
陸上自衛隊の主な職種は以下の通りです。
―普通科
いわゆる「歩兵」で、敵部隊の殲滅と地域占領を目的として、自動小銃や機関銃などを使用して近接戦闘をおこなう仕事です。迫撃砲や対空誘導弾の操作や整備のほか、装甲車やジープの操縦・整備もおこないます。
―野戦特科
普通科部隊とともに敵の占領地域や艦隊を攻撃することを目的として、自走榴弾砲や多連装ロケット発射システム、地対艦ミサイルなどを用いる部隊です。着弾観測・修正をおこなう情報・観測班、射撃データの計算及び発射指示をする射撃指揮班、実際に弾薬を操作し発射する射撃班などに分かれて作業します。
―高射特科
敵方の航空機に対して機関砲や地対空ミサイルで迎撃することを目的とした部隊です。大型運転免許や牽引運転免許、危険物取扱主任などの資格が取得できます。
―機甲科
戦車の操縦・整備を担当します。ほかにも偵察専門員が機甲科に属します。北海道には戦車連隊をもつ師団がふたつあり、戦車の総台数の半分近くが配備されています。操縦手・装填手・砲手・車長といった役割に分かれており、一般に装填手から始まり操縦手→砲手→車長へと昇進します。戦車の操縦手になるには大型特殊免許が必要で、自衛隊内にある自動車教習所で免許が取得できます。特殊車両の運転免許や自動車整備士の資格も取得可能。
―施設科
地雷の敷設・撤去や架橋、道路の補修、坑道掘削、陣地の構築などをおこないます。測量士や車両系建設機械運転技能者、大型自動車免許、大型特殊運転免許、クレーン・デリック運転士、移動式クレーン運転士など土木建築に関係する資格を取得できるため、除隊後の就職活動に有利です。
―航空科
敵の戦車・装甲車を殲滅することを目的とした攻撃ヘリのほか、輸送・観測・偵察などを目的としたさまざまなヘリコプターの操縦・整備を担当します。陸自ではヘリの操縦は陸曹以上に限られ、27歳という年齢制限があるため、任期を更新したかなりの経験者か幹部候補生に限られます。ヘリコプターは回転翼航空機に分類され、パイロットや航空整備士は明野・霞ヶ浦・宇都宮にある養成施設で訓練を積みます。
―空挺隊(パラシュート部隊)
必要物資とともに輸送機からパラシュートで降下する仕事です。空挺隊員になるには新隊員課程・前期修了後の職種選定で空挺部隊を希望し、体力・適性によって空挺基本降下課程基準をクリアする必要があります。一般隊員からも応募可能です。
―特殊作戦群(SOGーSpecial Operations
Group)
陸自のグリーンベレーとして特殊任務を担当する精鋭部隊です。対テロ戦や対ゲリラ戦、市街戦、情報戦などへの対応を目的とした組織で、おもに空挺隊の出身者やレンジャー資格をもつ3曹以上の隊員から成り立っています。
―通信科
固定型の基地通信機器や野外通信に用いられる携帯無線端末などの通信機器の扱いや整備・保守点検、通信ネットワークの構築・保守・トラブルシューティング、暗号解読や暗号通信業務などをおこないます。また、写真や映画を撮影するのも通信科の仕事です。
数学や暗号、IT・情報処理に強いことが求められます。あらかじめ情報処理系の資格があると有利で、神奈川・久里浜駐屯地にある養成施設でさらに専門性を磨くこともできます。無線通信士や特殊無線技士の資格が取得可能です。
―武器科
いわゆる「兵站部隊」として火器や車両の修理・補修、不発弾の処理、弾薬の補給などを担当します。危険物取扱主任や火薬類取扱保安責任者などの資格が取得できます。
―需品科
各方面隊の補給処や師団・旅団の補給隊などで、食糧・水・衣料品・テントなど武器類以外の必要物資の調達・保管・在庫管理・活用・補修をおこないます。宿営用テントの設営や炊き出し、入浴設備の準備も担当します。大型・大型特殊運転免許や牽引免許、フォークリフト免許が取得可能です。
―輸送科
部隊や戦車、重火器、必要物資などを輸送するため、大小さまざまなトラックを操縦・整備します。大型運転免許や牽引免許の資格が取得できます。
―化学科
化学戦や毒ガステロに備えて防護衣やガスマスクを着用し、計量機器を操って化学検知をおこなうほか、火炎放射器や発炎器具、化学防護車などの化学機材の取り扱いや整備をおこないます。新隊員課程・前期修了後に希望するか、一般部隊から希望し、認められると化学学校に進学します。理科系の基礎知識が要求されます。
―警務科
来日した国賓の警護や敷地内の違法取り締まり、隊員の規律違反防止、交通整理などの警務をおこないます。
―会計科
一般企業における経理とほぼ同じ仕事です。
―衛生科
前線の衛生小隊に属して野外応急処置や患者の後送、防疫や衛生器材の整備等をしたり、後方の地区病院で医療や健康管理をおこないます。普通の部隊と同じ訓練をしたうえで衛生科隊員に求められる技能を身に着けなければなりません。救急救命士や看護師、臨床検査技師、診療放射線技師(レントゲン技師)、理学療法士、歯科技工士免許などの資格が取得できます。
―音楽科
音楽を通じて隊員の士気を高揚する目的をもち、国賓招待時や観閲式のパレード、自衛隊音楽祭りなどで曲を演奏する部隊です。埼玉県・朝霞市に中央音楽隊があるほか、方面隊や師団などにも音楽隊があります。中央音楽隊や各方面音楽隊、師団音楽隊は演奏活動に専念する専務隊ですが、それ以外の部隊に所属する音楽隊は通常業務もこなす兼務隊です。
募集枠は極めて小さく、音楽大学の卒業者や幼少時から音楽を演奏してきた人などに限られます。海上自衛隊や航空自衛隊にも独自の音楽隊があります。
■海上自衛隊(海自 JMSDF―Japan
Maritime Sef-Defense Force)→海上自衛隊のオフィシャルサイト
―航海・船務員
艦艇に乗って艦位の測定や航海計器の操作・保守点検、他船との交信、操舵等の航海業務をおこないます。4級海技士(航海)や4級小形船舶操縦士の資格が取得可能です。
―機関員
エンジンの運転や保守点検・整備、火災・浸水への対処等をおこないます。
―射撃員
護衛艦等に乗艦して搭載されている砲やミサイルランチャー等を操作するとともに、弾火薬等の整備・補給を担当します。乙種危険物取扱責任者、乙種火薬類取扱責任者、特殊無線技士等の資格が取得できます。
―電測員
水上レーダーや対空レーダー、電波探知機などの機器の操作・整備をおこないます。
―水測員
護衛艦や潜水艦に乗艦してソナーで他国の潜水艦を探査する仕事です。ソナーは音波を受信して目標物の方向や大きさ・距離などを分析する水中探査機器です。
―魚雷員
艦艇に乗艦して魚雷や関連機器の操作や整備をします。
―掃海機雷
掃海艇等に乗って、海中の機雷の探知や処分をおこなうほか、関連器材の整備をします。
―艦船整備
艦船や船内で使用される電子機器、船用品等の整備や補給をおこないます。
―潜水員
水中の危険物の捜索・処理、船底調査などの作業を担当します。潜水士の免許が取得可能。
―運用員
洋上での補給作業や防火・防水に関する作業をおこないます。
―応急工作員
艦艇が火災や浸水、船体破損などの事態が生じた際に消火や補修などの対処をおこないます。
―給養員
地上の海上自衛隊関連施設や艦内で食事を提供する仕事です。海上自衛隊名物「金曜日のカレー」は給養員がつくります。
―情報員
中国語・ロシア語・英語等を駆使したり、写真撮影・ビデオ撮影などによって必要な情報を収集するとともに、集められた情報を分析します。語学関係の資格が取得できます。
―飛行員(航空機パイロット)
哨戒機や水上救難機、艦載ヘリコプターなどを操縦します。他にも海自が所有する航空機の整備や航空管制の仕事があります。
―気象海洋
気象や海の観測ほか航海・海洋関係の情報収集及び伝達、天気図などの資料作成を担当します。
ほかにもその他の自衛隊と同じように、施設員や衛生員、音楽隊、総務人事、経理担当などさまざまな職種があります。
■航空自衛隊(空自,JASDF―Japan
Air Self-Defense Force)→航空自衛隊のオフィシャルサイト
―戦闘機パイロット
外国の侵略に対してFー15やF-4戦闘機、F-2支援戦闘機などを操縦し、地対空誘導弾ペトリオットミサイルなどを用いて日本を防衛するパイロットです。日頃は空戦訓練やシミュレーション訓練、夜間飛行訓練、それらのレビューなどをおこなっています。戦闘機のパイロットになるには高校を卒業して航空学生になるか、防衛大学校・一般大学を卒業して幹部候補生課程を修了し、飛行教育課程に進む必要があります。いずれも厳しい適性検査があり、特にパイロットにとって視力は最重要ポイントです。
なお、航空学生とは海上自衛隊と航空自衛隊のパイロットや海自の戦術航空士を養成する2年制のコースです。自衛隊には戦闘機のほかにも偵察機や早期警戒機、早期警戒管制機、輸送機、救難機、救難捜索機、哨戒機、輸送ヘリ、救難ヘリなどの航空機があります。
―管制警戒
敵機と味方機を正確に識別するとともに航空機の安全かつ円滑な運航をサポートします。飛行管理員や航空管制員、警戒管制員、機上警戒管制員といった特技職があります。
―整備
航空自衛隊が所有する航空機や車両、高射の整備を担当します。レーダー整備や油圧整備、エンジン整備、計器整備、電機整備、武装整備、ヘリコプター整備、火気管制装置整備、
基地防空電子整備、基地防空機械整備、 高射電子整備など職域が細かく分かれており、それぞれに特技職があります。
―情報
情報関係の職域では、おもに画像情報や映像情報の収集・伝達、器材の整備等をおこなう写真員、主要各国の軍事事情や航空機・兵器に関する情報の収集・分析をおこなう情報員、外国語放送を聴取したり外国語文献を読解して翻訳をおこなう語学員、諸外国の電波情報の収集、無線通信機器の管理をおこなう無線調査員などの特技職があります。
―電算機(電算機処理員)
航空機の装備のほとんどはコンピュータ・ネットワークによって管理されています。電算機処理員は戦闘機やレーダーなどの個々のシステムから自動警戒管制システムや早期警戒システム、飛行管理情報システムなどといった大規模なシステムまで、各種コンピュータ・システムを操作するとともに、プログラミングやネットワークシステムの改良・保守・データ解析などをおこないます。
―武器弾薬
航空機に搭載される武器や弾薬の補給・整備、航空機の飛行訓練の支援などをおこないます。
―高射
戦闘機部隊や警戒管制部隊とともに空から侵攻してくる敵機を撃破する任務を帯びた職域で、ペトリオットミサイルを操作する高射操作員や短距離地対空誘導弾・携帯式地対空誘導弾・対空機関砲などの防空火器を操作する基地防空操作員といった特技職があります。
―気象 (気象観測員)
航空機が安全に離着陸・飛行できるよう、雲の高さや気温・気圧、風向・風速などの気象情報を観測して、天気図の作成や関係部署への連絡をおこないます。
―特別航空輸送隊
政府要人を海外に運ぶ政府専用機を運行する部隊です。万が一の故障やテロの標的となることにそなえて通常は2機を使用します。パイロットのほかにも運用管理者や航法士、機上無線士、キャビンアテンダントにあたる空中輸送員などが搭乗します。
ほかにも他の自衛隊と同じように施設や給養(食事づくり)、補給、警備、輸送、救難、会計、総務人事、教育訓練、音楽、通信、衛生などさまざまな職域があります。
航空自衛隊のオフィシャルサイトでは詳細な職域・特技職の内容を見ることができます。
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