地方自治体と一口で言っても膨大な人口を抱える都庁から県庁、政令指定都市、中核市、小さな村役場までさまざまな自治体があります。県と市で共通する仕事がある一方、地域の特徴によって特殊な仕事が存在する自治体もあります。
ここではごく一般的な地方自治体の仕事(主に行政職)について解説します。小さな自治体ではひとりで複数の仕事を担当しますし、大きな自治体では逆にさらに細かく分業化されています。
なお、公用車の運転士や用務員などの技能系・現業系公務員についてはこちらをご覧ください。
[地方公務員の採用について]
地方公務員の採用試験は、各自治体が実施しています。おもに大学卒業程度の上級、短大卒業程度の中級、高校卒業程度の下級の3段階に分かれています。各自治体によって受験できる年齢制限が異なりますのでご注意ください。上級の上限はおよそ27〜34歳、下級の上限はおよそ21〜34歳くらいです。
自治体によってはその年に採用試験を実施しない場合や、志望する職種についての採用がない場合がありますので、各自治体のホームページにある職員採用情報でご確認ください。多くの自治体では、一般の行政職だけでなく、警察職員や消防署職員の採用情報、経験者採用や都道府県が所有する病院のスタッフ採用、任期付き採用などに関する情報も掲示しています。
各自治体の採用情報へは、こちら(→財団法人 地方自治情報センターの市町村職員採用情報からリンクをたどると便利です。「市町村」と書いていますが、全国の各市町村だけでなく、各都道府県の採用情報にもリンクが貼ってあります。
採用に至るまでの流れは、試験案内・申込用紙の請求→申し込み→第1次試験→合格通知→第2次試験→最終合格→採用となっています。インターネットから試験案内の入手や申し込みができる自治体が多くなってきました。
【参考書】
『公務員の仕事入門ブック
2009年度版 (2009) (受験ジャーナル特別企画 2) 』 実務教育出版
『公務員試験受験ジャーナル―国家I・II種
地方上・中級 市役所上・中級 国税専門官 警察官等 (2006-10)
』
『大卒
全国市役所職員採用試験実戦テスト〈2007年度版〉
』 一ツ橋書店 (2005/12)
地方自治体ではいくつかの資格免許職を採用しています。自治体によって年毎に採用の有無がありますが、以下の免許職が比較的よく採用されています。
図書館司書 獣医師 看護師 薬剤師 保健師 助産師 理学療法士 作業療法士 保育士 栄養士(学校栄養士) 臨床検査技師 診療放射線技師
地方公務員の仕事にはおもに以下のようなものがあります。警察官についてはこちらをご覧ください。
[総務・企画関連] [住民生活関連] [保健・衛生部門] [社会福祉・保険年金関連] [農林水産関連]
[商工・観光・労働関連] [土木・建築・都市整備関連]
[環境・リサイクル部門] [行政委員会事務局]
[総務・企画関連]
議会事務局
地方議会の運営、議会資料や議事録の作成・配布、請願・陳情に関する事務などをおこないます。
秘書部門
県知事や市長、町長、助役のスケジュール管理や打ち合わせの手配、スピーチ原稿の作成などをおこないます。秘書業務の詳細についてはこちら(→秘書)をご覧ください。ほかにも栄典や褒賞等に関する事務などの業務があります。
財政部門
自治体の歳入及び歳出の予算編成や財政に関する調整事務・企画・調査、債権や基金に関する事務を担当します。
税務部門
住民税や事業者税、固定資産税の徴収、納税証明、税金に関する問い合わせへの対応などを担当します。また、納税の考え方を住民に理解してもらうためにホームページや冊子を作成することもあります。
広報部門
市報や暮らしのガイドなどの広報印刷物の作成、自治体のホームページ・コンテンツの作成、市民の市政に対する意見や要望の収集・分析、報道機関との連絡調整、情報公開や個人情報保護等に関する事務を担当します。(民間の広報についてはこちらをご覧ください)。
人事・厚生部門
自治体職員の給与や勤務条件・福利厚生等に関する事務や業務改善、安全衛生、健康管理、行政評価に関する事務を担当しています。参考としてこちら(→人事の仕事)をご覧ください。
管財部門
自治体が所有する土地や建物を管理する仕事です。
統計部門
住民の所得や家計、人口・労働・教育、商工業・農林水産業に関するデータ収集や統計調査・分析等をおこないます。
国際部門
[住民生活関連]
住民窓口(市民窓口)
市役所や町役場の本所・支所で、市民の依頼に応じて住民票や印鑑登録証、戸籍謄本などの写しの発行や、異動届・出生届・婚姻届・死亡届等の受付を担当します。
住民相談所(市民相談所など)
家庭内のもめごとや隣人とのトラブル、子どもや病気に関する心配事など、住民のさまざまな相談を受け付け、適切な行政窓口や対処法を教示する仕事です。
子どもホットライン(いじめテレホン)
子どもたちや保護者から電話での相談を直接受け付け、悩み事の解決やいじめの早期発見をおこないます。
[保健・衛生部門]
住民が健康にすごせるよう保健及び衛生に関する指導、成人・歯科保健、医薬品の規制、食品衛生や動物愛護・管理、墓地・埋葬等に関する行政事務、
保健所・健康増進施設・食肉衛生検査所の管理事務、病院経営指導、保健師・助産師・看護師などの業務指導、疾病予防、感染症対策などを担当します。
保健所(市町村保健センター・健康福祉センター)
地域保健法に基づき、健康診断・成人病検診・予防接種、感染症や食中毒の検査・原因調査・予防、保健師による健康指導、福祉施設や集団給食施設に対する栄養指導、食品を扱う施設、ペット・動物取扱業、理容・美容業、クリーニング業、宿泊施設、興行施設、公衆浴場に対する指導・監視・検査、野犬の捕獲・駆除、ペットの処分、動物に関する苦情の受け付け、害虫の防除作業などを担当します。
保健所では数多くの保健師が働いています。
食肉衛生検査所
細菌・ウィルスの精密検査、病理・理化学検査、食肉処理業や食肉の冷蔵・冷凍業の監視・指導、と畜検査・と鳥検査に必要な調査・研究などをおこないます。
[社会福祉・保険年金関連]
高齢者福祉部門
老人福祉施設の管理・整備や独居老人の支援、高齢者への職業紹介、敬老祝典・祝金、高齢者特別給付金に関する事務、老人クラブの支援、老人医療に関する業務などをおこなっています。
障害者福祉部門
障害者福祉施設や障害者自立支援施設の管理・整備、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の申請受付や交付、重度障害者特別給付金支給など、身体障害者や知的障害者の支援や障害者福祉に関する行政事務を担当します。
児童福祉部門
児童福祉施設や保育所・児童相談所の管理・整備、児童手当の支給、母子・児童福祉団体の運営支援など、児童や母子寡婦の福祉に関する事務を担当します。
保健・年金部門
国民健康保険や国民年金、介護保険に関する事務や住民からの相談への対応などをおこないます。
生活保護部門
事情があって生活費に困っている人に対する生活保護に関する業務を担当します。
出先機関として、福祉事務所や知的障害者更生相談所、精神保健福祉施設、保育所、子育て支援センター、児童館などがあります。
[農林水産関連]
農業部門
地域農業・農村の振興のため、農業・畜産団体の監督、農産物・畜産物の生産・販売促進、農地の区画整理、灌漑事業、農業・畜産経営の支援・指導などをおこないます。(→普及指導員)
林業部門
自治体が所有する森林の管理・育成・保全、地域の森林保護や林道整備、林業・木材産業の経営支援・技術支援・指導をおこないます。ほかにも森林の開発許可や治山事業、保安林の指定、狩猟及び有害鳥獣対策に関わる仕事などを担当します。(→林業普及指導員)
水産部門
漁業や養殖など地域の水産業を育成するため、漁港の建設や漁港・漁村・水産施設の整備、協同組合の指導・監督、漁業経営の支援・指導をおこないます。ほかにも漁業権の免許や漁船登録、漁業取締りに関する事務などを担当します。
出先機関としては、農林水産事務所、農業改良普及センター、水産技術センター、農業試験場、林業試験場、畜産試験場、水産試験場、病害虫防除所、家畜保健衛生所などがあります。
[商工・観光・労働関連]
商工振興部門
地域の商工団体に関する事務や工業技術の開発・利用の促進や技術指導、科学技術の振興、電気工事業の登録、新規事業の創出促進、商工業に関する統計・調査などを担当します。出先機関として計量検定所や工業技術センターなどがあります。
観光部門
公営観光施設の管理運営、観光パンフレットや観光ホームページのコンテンツ作成など観光客の誘致や宣伝、地域特産品の販売促進、観光業者や観光事業団体に関する行政事務を担当します。
労働部門
労働者の福祉向上、高等技術専門校や職業能力開発センター、障害者職業能力開発校の監督・支援、認定職業訓練、技能検定
労働情勢の把握,地域内の雇用促進、UIターンの推進などを担当します。
[土木・建築・都市整備関連]
用地部門
土地収用法(※)に基づく用地取得や地権者への補償に関する事務を担当します。不動産鑑定士など不動産評価や不動産取引に関する知識・資格があると有利です。
(※)土地収用とは公共の利益を目的とする事業をおこなうために、地権者(土地の所有権者)から一定の補償金と引き換えに所有権を譲渡してもらうことです。土地収用法は、土地収用・土地使用の手続きや地権者への補償を定めた法律です。
道路部門
地域内の交通情勢調査、道路整備計画の立案・調整、地方自治体が所有する道路(県道・市道等)、橋りょうの建設計画・工事・管理、道路・橋梁の災害復旧工事の施行・監督などを担当します。
河川・砂防部門
河川や海岸の堤防・管理施設の工事・管理、公有水面の埋立許可、河川・海岸の防災復旧工事、がけ崩れ・地すべり等土砂災害の防災復旧工事について施行・監督などを担当します。
港湾・空港部門
自治体が管理する港湾・空港の開発・維持管理に関する業務をおこないます。
都市計画部門
利便性が高く住み良い都市環境にするため、土地区画整理や緑地・公園・下水道・街路の整備、土地収用、工事事務などを担当します。
建築・公営住宅部門
自治体が所有する公共施設・公営住宅の建築計画・図面作成及び施設管理を担当します。
[環境・リサイクル部門]
環境部門
自治体の環境基本政策の企画立案、環境についての苦情処理・公害紛争処理に関する業務、大気汚染・騒音・悪臭・水質汚濁・土壌汚染の規制や環境影響評価、一般廃棄物や産業廃棄物に関する行政事務、容器包装・家電・自動車等のリサイクル促進、廃棄物処理施設の整備などを担当します。
自然保護部門
自然環境保全地域の管理や自然保護思想の普及啓蒙、自然公園に関する事務、野生生物の保護に関する事務などを担当します。
清掃部門
ゴミとし尿の収集・処理、処理計画の立案、ゴミの減量対策などを担当しています。
[行政委員会]
―人事委員会・事務局
自治体の長から独立して職員の勤務条件の改善、給与改定、職員の採用試験、昇進試験の計画・実施などを担当します。
―監査委員・事務局
自治体自身の財務関連事務や自治体が経営する事業、自治体が財政的に援助している機関に対し、地方自治法や公営企業法に基づいて、経済的かつ効率的に手続きや仕事がおこなわれているかどうか、財務会計事務が正しく行われているかどうかなどをチェックする仕事です。事務監査や財務監査、行政監査、決算審査、月例現金出納検査、基金運用審査などの種類があります。
―公安委員会
住民の安全と秩序を維持するために警察本部を監督・指導します。事務局は各自治体の警察署が担当します。
―選挙管理委員会・事務局
国政選挙や地方選挙に関するさまざまな行政事務、及び条例制定請求・議員の解職請求といった直接請求に関する事務などを担当します。
―教育委員会・事務局
公立学校の管理運営に関する指導・助言・監督及び教員採用のほか、公営の社会教育施設・文化施設・スポーツ施設の管理、教育・学術・文化に関する事務を担当します。
―地方労働委員会・事務局
不当労働行為の審査・判定や労働争議の調整をおこないます。
―収用委員会・事務局
土地収用法に基づき土地の収用や使用に関する裁決をおこないます。
市町村にはほかにも、農地の利用関係の調整など農地に関する行政事務を担当する農業委員会や、地方税法に基づき固定資産課税台帳の登録事項に対する不服の審査・決定に関わる行政事務を担当する固定資産評価審査委員会があります。
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